抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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海上保安白書によると多発する海上犯罪の中で,漁業関係法令違反に対する送致件数は,海上犯罪送致件数の中の34%を占めており,その対策が急務となっている。これらの犯罪の多くは夜間に発生しており,昼夜を問わず利用可能な物体検出・追跡ができる監視システムへの期待が高まっている。筆者らは漁港などを含む湾岸領域を対象に,カメラを用いた移動物体の自動検出手法を提案している。複雑な背景変動を記述する手法として固有空間法がある。固有空間法は検出対象物体を含まない背景画像を複数枚収集し,これらに含まれる変動を固有ベクトルという形で表現する。本研究では,カメラから3km程度離れた沖合を含む湾岸領域において,沖合を移動する船舶,カメラから近くにある漁港付近を移動する小型漁船やヨット,陸上部にある車両,人物などを対象に,サーマルカメラを用いて物体検出を行った。本研究では,画像を小ブロックに分割し,ブロックごとに背景変動を考慮した次元の違う固有空間を作成し,その次元に対応した閾値を用いて検出を行う手法を提案した。この手法を用いた結果,全体で70.5%の物体検出率を得ることができた。一方,水平線消失点付近にある物体は,カメラから遠く離れているため,画面に小さく映るだけでなく,背景部分との輝度差も少ない。遠方及び漁港の外側部分の海上に対する検出率は52%~65%程度であった。