抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿の目的は、外国人従業員の予期的社会化に焦点を当て、外航海運企業によるオペレーション現場レベルでの入社前教育・訓練の観点から、規範的統合を達成するための予期的社会化手段とその役割を明らかにすることである。 外航海運企業に従事する船員は、多様な国籍やバックグラウンドで構成され、短期的な契約ベースで雇用される。他方、船舶のオペレーションを安全かつ効率的に遂行するためには、個々の船員が、海運企業のもつ組織風土に適応すると同時に、職務遂行の規範となる企業特殊的な安全管理ポリシーを共有し、同一船種、同一職位であれば同水準の技術やスキルをもつことが必要である。この課題を解決する有力な手段として、海運企業による船員の規範的統合が挙げられるが、さらに、規範的統合を達成する上で重要な役割を果たすのが、組織参入前の予期的社会化であると考えられる。 そこで本稿では、第 1 に、先行研究に基づき、予期的社会化の一般的な概念を整理する。第 2 に、外航海運業に固有の要因を踏まえ、同業種における規範的統合と予期的社会化の重要性を明確にする。第 3に、ケース・スタディとして、外航海運企業の先進的な予期的社会化施策である CADET SHIP(訓練設備付船舶)での教育・訓練を取り上げる。筆者は、大手海運企業の協力を得て、同子会社である船舶管理企業へのインタビュー調査および CADET SHIP での参与観察を行い、CADET SHIP におけるトレーニングの内容および手法等に関する質的データを収集した。そして最後に、上述の概念的フレームワークと、ケースとして取り上げた戦略的な取り組みに基づいて、外航海運企業における外国人船員の予期的社会化の手段と役割を帰納的に検討する。 その結果、本稿ではまず、CADET SHIP による予期的社会化を通じて海運企業が獲得する技能的および文化的側面の成果を具体的に示した。さらに、それらを導出する上での CADET SHIP による教育・訓練の手段および役割として、以下の 4 点を明らかにした。すなわち第 1 に、全社レベルで統一されたカリキュラムや教授法による能力水準の標準化。第 2 に、企業特殊的な教育・訓練による安全管理ポリシーや価値観の共有化。第 3 に、インストラクターの組織社会化による自己の役割や職務に関するイメージの明確化。...(著者抄録)