抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
STAP細胞研究の不正問題に焦点をあわせ,日本の科学研究における構造的問題を調査した。STAP細胞問題については主要な研究遂行者である小保方晴子個人が批判の対象となっていた。しかしながら,研究不正について,特に近年の競争的な研究環境が大きく影響しているのではないかという指摘が少なくない。また,科学研究の複雑化,論文の著者数の増加,任期制による身分の不安的化等もその原因として挙げられた。このような観点から,日本のポスドク問題と理化学研究所によるマスコミへの過剰アピールについて議論し,STAP問題の背景に存在する構造的な問題点を明らかにすることを試みた。STAP事件の背景として,ポスドク制度の任期の短さ,特定国立研究開発法人の指定問題や特許取得を目指した成果への焦りが存在すると考えられる。さらに,理化学研究所は研究資金獲得のために「リケジョ」や「割烹着」のような女性科学者として表象を利用した積極的な劇場型の宣伝手法を用いた。この事件を小保方個人の問題として矮小化せず,日本における科学研究の全体像を把握しない限り,問題の本質は見えない。