抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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生物群集は,様々な時間スケールで変化する,植生遷移では,森林の遷移は数十から数千年の時間スケールで起こるので,理解するのが難しい現象と言える。一方,木を伐採すると変化がはっきり見えるので,森林破壊の印象が残りがちであり,森林が減り続けていると思われている。実際には,日本の森林は減っていない。森林蓄積量で見ると増え続けている。逆に草地面積は減り続けている。これは,草地が放棄され森林に変化したのである。森林が減っているという誤った認識は,森林に関わる環境問題にとって障害となる可能性がある。子供たちが,将来正しい意思決定をするには,現状を把握する必要がある。そこで,同じ場所で数十年の植生変化を観察する教材として,空中写真の活用を考えた。国土地理院の「地図・空中写真閲覧サービス」から1950年以前の写真と現在の写真を得て,並べて比較することで植生の変化を見やすくした教材を作成した。学生に生態学の授業で使用し,授業前後で森林の増減の認識を調査したところ,授業前の森林が減っているという認識から,増えているという認識に変わった。白黒の空中写真では,草地から森林への変化は認識できるが,植物種の変化までは確認が難しい。地上写真との組み合わせやカラー写真が必要である。しかしながら,森林が増加しているという知識が定着し,原因として植生遷移があることが理解できていたので教材としては有効と思われる。