抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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供用中のナトリウム冷却型高速炉の原子炉容器は,冷却材であるナトリウムと,そのカバーガスとしてアルゴンガスを内包する。そのため,カバーガスバウンダリを開放する際には,仮設バウンダリを確保した上で,カバーガスを微正圧に制御することで,カバーガスの放散を抑制し,かつカバーガス中への不純物混入を防止することが要求される。2014年5月~12月に実施された高速実験炉「常陽」の炉心上部機構交換作業では,カバーガスバウンダリが開放されるため,カバーガスの微正圧制御が要求されたが,仮設バウンダリであるビニルバッグの健全性を維持するため,最大20m
3/hのアルゴンガスブローを約2ケ月の長期間に亘って継続する必要があり,既存の設備及び手順では対応が困難であることから,循環型カバーガス微正圧制御システムを開発し,実機に適用した。循環型カバーガス微正圧制御システムには,最大20m
3/hのアルゴンガスが原子炉容器内に供給される条件で,カバーガス圧力を100~150Paの管理目標に保持するための微正圧制御性とともに,資源節約のため,排気されたカバーガスを循環・再利用するためのリサイクル性を確保することが要求される。「常陽」では,2013年12月12日~20日に,当該システムを実機に試験運用するとともに,炉心上部機構交換作業に適用することで以下の成果を得た。最大20m
3/hのアルゴンガスが原子炉容器内に供給される条件で,基本的に,管理目標である100~150Paの範囲内にカバーガス圧力を制御できることを確認した。排気されたカバーガスに含まれるナトリウムベーパーを除去するとともに,当該ガスを30°C以下に低減し,冷却ガスとして再供給できることを確認した。これらの成果は,世界的にも例の少ない大規模な原子炉容器内補修作業である「炉心上部機構交換作業」の作業環境を整備し,当該作業の安全な推進に大きく貢献した。また,ここで蓄積された経験やデータは,稀少な知見として,今後のナトリウム冷却型高速炉の原子炉容器内保守・補修技術の開発に資するものと期待される。(著者抄録)