抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ヒト毛髪タンパク質から調製されているケラチンフィルムは,紫外線,ブリーチ,パーマ,熱などが引き起こすヘアダメージを簡便に評価することができるため,代替毛髪としての活用が進められている。本研究では,ケラチンフィルムが市販されているシャンプーやコンディショナーの処理に耐えられるか,また,摩擦と吸着物の分析に利用できるかを検討した。ケラチンフィルムの質量や微細構造は,シャンプーやコンディショナー処理によりほとんど影響を受けなかった。摩擦感テスター(KES)を用いてケラチンフィルムの平均摩擦係数(MIU)を測定したところ,その値は毛束を使用した場合と比べて7~8倍高い値を示した。乾燥状態に加えて湿潤状態でもKESでの摩擦計測は可能で,20回までの繰り返し測定にもケラチンフィルムは耐えられた。市販シャンプー類でケラチンフィルムを処理したところ,興味深いことに,コンディショナー単独時とシャンプーとコンディショナーの連続処理時において,MIU値の有意な低下が確認された。その低下率は使用した製品により異なっていた。さらに,処理後のフィルムをエネルギー分散型X線分析(EDS)で分析したところ,シリコーン入り製品で処理したフィルムにおいてはSiが吸着していることが検出され,その分布はほぼ均一であった。これらの結果,ケラチンフィルムが毛髪の触感と吸着物を測定・評価する上でも有効である可能性が示された。(著者抄録)