抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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望む特性を備えた蛋白質の構造配座空間を迅速に検索するために,「特異特性のゆらぎ増幅法(Fluctuation Amplification of Specific Traits)」〔FAST〕を導入した。このアルゴリズムは,探査/開発交換の均衡化によって望む構造の配座空間を迅速に検索する。多くの物理特性は,蛋白質をそれらのフォールド状態へと導くことで知られるエネルギー勾配と類似して,配座空間に全体的勾配を持つ,という仮説によってFAST性能は促進される。例えば,小分子溶媒の接近し易い面領域をもつ配座から大表面領域を持つ配座への遷移は,着実に増大する表面域をもつ一連の配座を経る必要がある。FASTの性能を他の方法と3つの共通問題点に関して比較した。すなわち,「予想外結合ポケットの同定」,「特異構造間の優先経路の発見」,および「フォールディング蛋白質」の3つである。その結果,FASTは,従来のシミュレーションおよび適応サンプリングアルゴリズムよりも少なくとも一桁性能が優れていた。更にまた,FASTは適切な熱力学および速度論の両方を与えることから,熱力学情報のみの他の方法では不可能な速度論的実験にも直接つなげることができる。