抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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屋内位置測位のひとつとして,携帯端末に搭載された加速度センサや角速度センサの示す値から歩行者の移動量を算出し,位置を推定する手法が存在する。この手法は歩行者デッドレコニング(以下PDR)と呼ばれ,これに関する研究は複数存在する。誤差が蓄積するという問題点があり,この誤差は歩いた経路長が長いほど大きくなる。しかしながらこれまでのPDRの精度評価は,経路の最終地点における正解座標と推定座標の距離をその精度とするにとどまっていて経路の複雑さを考慮していないものが多い。本研究では,それぞれのPDRを比較することのできる評価指標を提案する。PDRが距離推定,進行方向推定,高度推定の3つの要素から構成され,これらを合成して位置推定を実現していることに着目する。総合評価である位置推定を1秒あたりに生じる座標誤差で評価し,これに加えて,3つの経路長推定,進行方向推定,高度推定の各要素を指標により評価する。累積角度変化や経路長,高度の値を使い指標を算出することで経路の複雑さを指標に取り込み,異なる経路を用いて評価したときの指標の値のばらつきを抑えることを試みた。上記で述べた構成要素毎の比較検討手法を用いて,実際の経路データを分析し,指標のばらつき具合を確認したところ,提案評価指標のばらつき具合は既存の指標のばらつき具合よりも小さいことが確認できた。また,数値だけではわからない推定経路と正解経路の違いを視覚で確認するための位置推定情報の可視化ツールを作成した。このツールでは単純に2つの経路を比較するだけでなく,歩行時間ごとの動きを確認できるようにした。また,推定経路を自由に動かすことで,どの部分で誤差が大きいのか視覚で理解できるようにした。加えて,推定精度の低い経路データを任意で抽出を可能にすることを目的としてデータの一部を切り取る機能を実装し,推定手法の新たな改善点の考察を可能にする。(著者抄録)