抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
図面は技術者にとって最も重要な情報伝達方法であり,製造現場では,設計者が思い描く立体の形状や構造を2次元投影図法により作図しながら行なう2次元設計が中心であった。そのため,大学における製図教育でも,2次元設計のためのカリキュラムが実施されてきた。しかし,製図がCADで行われるようになり,さらに3DCADが普及してきた昨今,「基礎製図は必要無い」として,高等教育や企業における新入社員教育等では,手書き製図をはじめ基礎的な製図教育を省略し,はじめからCADを用いた製図教育を行うケースが多くなっている。一方,安易なCAD導入に対する弊害も危惧されている。そこで,本研究では,基礎製図教育の必要性について再検討することを目的とした。そして,3Dモデリングを通じた2次元図面作成の教育を行う上で,はじめから3Dモデリングの教育を行うよりも,事前に基礎的な製図教育を行った後に3Dモデリング教育を行う方が2次元図面の作図および理解には効果的ではないかという仮説をたて,実験的教育を行った。その結果,3Dモデリング作成においては,モデリング時間やモデリングの正確性などに関して基礎製図教育の効果はほぼ認められなかった。また,2次元図面作成では,作業時間については両グループに相違は認められなかったものの,寸法の配置など「読みやすさ」を考慮した図面が作成できるかについては基礎教育を行わなかつたグループよりも基礎教育を行ったグループの方が優れていた。さらに,理解度テストにおいても同様に,基礎教育を行ったグループの方が優れていた。本研究結果を踏まえると,確かに作業時間などの効率性についてはあまり影響は認められなかったが,仕上がり品質,特に「読み手を考慮した」品質に大きく影響することが示唆された。したがつて,CADを用いた製図のための教育を行う場面においても,基礎的な製図教育は必要であると結論づける。