抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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生態学・進化生物学の分野において,いまやメタ解析は多くの一次研究(primary study)を定量的に統合するもっとも有望な手法となっている。この手法はもともとは医学・社会科学の分野で発展してきたもので,それは固定効果(fixed effects)モデルやランダム効果(random effects)モデルなどの適用から始まった。メタ解析で扱うデータとは効果量の集まりであるが,生態学・進化生物学の分野ではこれらはより不均質(heterogeneous)かつ相互依存的(inter-dependent)であるという特徴を持つので,効果量間の独立を仮定している上にあげた従来的なメタ解析モデルでは,うまくあつかえない。生態学・進化生物学分野におけるメタ解析では,一次研究内での効果量の非独立性,あるいは対象となる生物種(species)間の系統学的な近縁性といった非独立性(相関構造)をあつかわなければならないことが多い。これらの非独立性を扱うために提案されたメタ解析の統計モデルを紹介する。系統学的な比較法をくみこんだマルチレベルモデル,すなわち系統学的マルチレベルメタ解析は生態学・進化生物学分野で頻出するデータを解析するのに適している。またメタ解析の不均質性I
2とメタ回帰のR
2の概念についても検討する。メタ解析のモデルは発展しつつあるが,生態学・進化生物学分野ではその利用は進んでいない。この分野の研究者たちに対する実効性のある教育プログラムが必要である。(著者抄録)