抄録/ポイント:
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強相関電子系物質は,温度や圧力などの変化に対して様々な相転移を示す。本論文では,二つの相関電子系における圧力誘起電子相転移について報告する。1つは,非常に稀な強磁性金属絶縁体転移(強磁性Peierls転移)を大気圧下で示すクロムホランダイト,K
2Cr
8O
16である。この物質に圧力を加えると,強磁性金属状態が抑制される一方,強磁性Peierls転移が堅固になり,その結果,臨界点でCurie温度と金属絶縁体転移温度が一致する。強磁性絶縁相と常磁性絶縁相との間には中間的な強磁性相が存在することを示唆した。もう1つの系として,鉄系スピンラダー物質でMott絶縁体であるBaFe
2S
3を取り上げた。今までに,正方格子を持たない新しい鉄系超伝導体について盛んに研究されてきたが,未だに,そのような系は発見されていない。BaFe
2S
3に圧力を加えると,約10GPaで金属絶縁体転移を示し,ついで,超伝導が出現することがわかった。これは,圧力によるバンド幅の制御によってMott絶縁体を金属化し,同時に超伝導状態を出現させた初めての例である。