抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
「STCW条約マニラ改正」では多岐に渡る改正が行われたが,運用水準の機関士(機関当直を担当する機関士)の能力基準表にERM(機関室リソースの管理)が「安全な機関当直の維持」能力に係る要件の一つとして追加された。能力基準表全体から見れば,一つの能力要件が追加されたに過ぎないが,これは,大きな変革であったと言える。それまで機関室機器の取扱いや当直維持に係る技術的知識・技能だけを定めていた能力基準表にコミュニケーションに代表される人的要素を含めた「機関室リソースの管理」という,これまでとは性質を異にする要件が,追加されたからである。この要件は,コミュニケーション,リーダーシップなどの人的要素を含め機関室リソース管理原則の意味するところを理解,習得した上でこれを実践しながら機関当直を維特する能力を求めている。この要件が強制化されたのは,端的に言えば,多くの事故調査の結果からこれまでのような技術的知識・技能だけでは,安全運航が確保できないという判断が,形成されたからである。能力基準表にあるERM要件は,ERM原則と人的要素で構成されており,この二つは,それぞれ異なるプロセスを経てERM要件として組み合わされた。本稿では,STCW条約マニラ改正に伴いERMが強制化された経緯及びその要件について概説する。