抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年,北東北においても,地球温暖化に伴い斑点米カメムシが増加しており,その食害による米の品質低下が大きな問題となっている。しかし,その被害の程度は,栽培される水稲品種や夏季の気象条件によって大きな差がある。被害を受けやすい「ヒメノモチ」などの品種では,追加防除が必要になる。さらに,カメムシの繁殖が促進される「高温年」では,そうした対策が重要になっている。本稿では,そうした岩手県における実態調査に基づき,カメムシによる加害リスクの「発生頻度」と「被害強度」を具体的に見積もった。そして,そうした数値を用いて,リスクマップを描き,カメムシによる被害リスクを算定するとともに,追加防除対策の有効性について,費用便益分析による評価を行った。その結果,「ひとめぼれ」では現状の一回防除で被害リスクが抑えられており,追加防除の有利性は少ない一方,「ヒメノモチ」では,カメムシが多発しやすい「高温年」の追加防除による被害抑制効果と追加防除のコストがほぼ均衡するという分析結果が得られた。このことは,「ヒメノモチ」の作付割合が高い県央地域での防除割合が高い一方,「ひとめぼれ」の作付けが主力の北上川下流域などでは追加防除を行わず,農薬使用回数を慣行の5割減にとどめた米販売に取り組む例が多いという実際の防除実態にうまく対応しており,リスクマネジメントの実践という面からも,現在の防除対策の有効性が評価できた。(著者抄録)