抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所事故やスペースシャトル・チャレンジャー号の打ち上げ失敗などの検討から,事故の発生原因となった仕事に直接関わる個人やグループの失敗には組織全体に亘る問題(組織の安全文化)が大きく関わっていることが明らかとなり,「組織事故」の考え方が大きくクローズアップされている。組織内に安全文化を確立するには,組織に1)報告する文化,2)公正な文化,3)柔軟な文化,4)学習する文化,の4つの文化を確立することが必要であるとされるが,本文ではまず一般に理解が難しいと思われる公正な文化および柔軟な文化とは何かについて解説した。さらに2005年前後からは安全マネジメントの新しい考え方として従来のヒューマンファクターズを基本とする考え方に代わる「レジリエンス・エンジニアリング」が提唱されており,本文ではこの考え方の中で筆者が最も重要と考える「第1種の安全」と「第2種の安全」について詳しく紹介した。マニュアル第一主義は現場のレジリエンスを奪うものであり,現場第一線が上部からの指示がなくとも安全を確保しつつ組織の使命を果たす判断と行動を自ら行えるしなやかな力を現場が取り戻すような安全マネジメントに向かうべきであると考える。