抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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・Living Lab(LL)は,15年前から欧州,特に北欧が先導しEUや各国政府が支援しているユーザーや市民参加型のイノベーション活動である。このLLには,共創とTestbedの2つの機能があり,ユーザーは,サービスや製品(以下サービス)を共創するパートナーと,開発するサービスのモニターの2つの役割がある。・現在LLは,欧州だけでなく世界的に広がりつつあり,これまで380以上のLLの活動が行われてきた。利用分野には,医療・健康,都市,観光,行政,教育など様々あり,地域レベルの活動が中心となる。・LLでは,ユーザー・市民,企業,大学,行政やNPOなど,様々なステークホルダーが参加する。大学や公的セクターは,LLの主導的な役割を担うことも多い。これは,公的な支援を受けやすく,様々な人々を結集しやすいこと,企業とユーザー・市民,企業間などのコーディネート機能を果たせることが理由である。・LLの活動は,ユーザー・市民の持続的な参加・モチベーションの維持が難しく,あるいは企業側にとってLLの手法が慣れない解釈的な性格を持ち,非直線的な活動になり,取り組みとして予想が難しいことから,企業としては参加しにくいという課題がある。また,企業は往々に,ユーザー・市民をモニターや被験者として,LLを自社が想定しているサービスや製品の利用についての仮説を検証するためのデータを獲得するための実証試験と考えがちである。・LLは,ユーザー・市民を「イノベーションのパートナー」として,ユーザー・市民の行動をできるだけ現実(Real World)から理解して,製品やサービスを共創していく活動であり,企業にとっては,ユーザー・市民をどのように参画させるか,コミュニティ作り(当事者意識作り)やプロジェクト・フォーメーションに相当な時間や手間がかかる。LLの開始後も不確実性が高い取り組みとなる。しかし,LLが生み出す価値は,ステークホルダーが異なる価値を提供しあうことで生み出されるものであり,自社とユーザーの関係だけでは得られない。そこにLLの存在意義がある。(著者抄録)