抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究グループでは,縦揺れや上下揺れも含めた動揺を抑制し,波エネルギーも吸収できる小型船の開発を目標として,2008年より,模型船を製作し,シミュレーションや水槽実験,実海域実験を実施してきた。実際の小型船としては,全長8mのものを想定した。本研究では,双胴船(カタマラン)を採用した。カタマランの左右の浮力部分は別構造体のフロートであり,キャビンとの間をバネで接続する。波が入射すると,まずフロートが動揺し,バネの伸縮によってキャビンも動揺する。キャビンとフロートの相対運動を利用することによって,波エネルギーを吸収する。すなわち,キャビンとフロートの上下方向の相対運動が,ラック&ピニオンによって回転運動に変換され,モータ/ジェネレータ(M/G)を回転させ,発電する。実船の全長を8m,フロートの全幅を1.9m,排水量を従来船4トンに対して,漁船への適用シミュレーションにおいてはバッテリー等を搭載する必要があるため,1.3トン重くなると仮定し,5.3トンとした。開発した船は,重量が大きくなることによって,従来船よりも大きい140.7kWhを消費するが,波エネルギーを57.2kWh吸収するので,合計83.5kWhの消費量となる。従来船に必要なエンジンのエネルギー122.2kWhに比べて,エネルギーの削減率は,31.7%となる。今回開発したシステムは波エネルギーの吸収,乗り心地の向上のどちらにも対応でき,また航行中に,必要に応じて例えばダイアル一つでこれらの組み合わせの割合を調整することができる。