抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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海苔に含まれるフィコビリタンパク質と総称されるアロフィコシアニン,フィコシアニンおよびフィコエリスリン(PE)の3種の色素タンパク質の食品への色素としての利用のための水系安定性について検討した。フィコビリタンパク質を抽出し,それらの分子量および構成アミノ酸組成を測定した。そして,水溶液中での安定性に及ぼす初期濃度,温度およびpHの影響について検討した。なお,安定性の評価には,L
*a
*b
*系による各種色差パラメーターと比色法による各フィコビリタンパク質濃度を用いた。0.05,0.1および1.0%(w/v)のフィコビリタンパク質水溶液の40°Cでの安定性を測定した結果,フィコビリタンパク質濃度が高いほど色調の安定性が高く,また比較的温和な温度での色調変化は彩度の変化によるものであることがわかった。色調パラメーターおよびフィコビリタンパク質濃度は,いずれも温度が高いほど経時的変化量が大きく,各フィコビリタンパク質の濃度低下とそれに対応する色調の変化が観察された。含有量と熱劣化特性の観点から色素としての利用性を考えると,3つのフィコビリタンパク質の中ではPEが有利であることがわかった。フィコビリタンパク質の色調はpHにも依存したが,特にPE安定性のpH依存性が高いことが示唆された。得られた知見は,不良品質の海苔を有効に活用する取り組みに資する結果となることが期待される。(著者抄録)