抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
ペプチド中の各アミノ酸は,3個の原子ユニットにより主鎖を形成することから,天然環状ペプチドは,9員環,12員環,15員環などの,nをアミノ酸数とする3n員環より成っている。9員環または12員環の環式化合物である環状ペプチド類は,ひずみのため調製が困難である傾向を有する。一方で,1種類のアミノ酸より成る関連するホモログ類(15員環の環状ペンタペプチド類)は,戦略的に配置されたプロリンまたはD-アミノ酸残基による束縛がない限り,立体構造的に均質とはならない。著者らは,環状テトラペプチド中の遺伝的にコードされた1種類のアミノ酸を剛直なβ-アミノ酸で置き換えることで,合成が容易であることと構造的剛性を有するという利点を同時に有する,ペプチドミミック類の設計が可能となると予想した。そこで,本研究では,プロリンを含まずアントラニル酸(Anth)残基1個を含むことを特徴とする13員環ペプチド類1について調査した。このタイプの環状12員環ペプチド類の調製を試み,溶液法および固相法の両方での可能性について報告した。その結果,シーケンス1aaf(すなわち,cyclo-AlaAlaPheAnth)で表される4種のジアステレオマー類の全ての調製に成功した。これらの4種のジアステレオマー類は溶液中において,例外なく,それぞれに有利なコンフォメーションを取ることが確認された。基本的に,これらのコンフォメーションは,赤道面の上下にひだを形成するアミドのN-Hベクトル類,ならびに,極性軸向かうようにおおよそ配向した各化合物のN-H原子類,を特徴として有する。さらに,これらのコンホーマー類の形状は多様であるが,論理的かつ予測可能な範囲に収まることがわかった(NOE,温度係数,D/H交換,円二色性などにより確認)。次に,溶液中の化合物類1aaaが提示する側鎖の指向性について,理想的な二次構造およびタンパク質-タンパク質相互作用の観点より,比較を試みた。溶液中の各種1aaa立体異性体類は,その側鎖類を,正および逆のγ-ターンおよび最も一般的なβ-ターンなどに類似した方向に,呈することがわかった(タイプIおよびII)。上記傾向は,化合物類1aaaが,タンパク質-タンパク質インタフェースにおいて,各種ターン類およびベンド類に似た構造をとる傾向と一致する。最後に,本化合物類の蛋白質分解安定性および異なるpH値における加水分解安定性を評価したところ,類似した線形ペプチド類と比較して,より分解耐性を有することが確認された。また,人工膜を用いた透過性試験より,本研究の化合物類の構造は,細胞透過性の向上に有利に働くことも見出された。Copyright 2016 Royal Society of Chemistry All Rights reserved. Translated from English into Japanese by JST