抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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訪日外国人旅行者による消費を取り込み,日本各地の経済成長に繋げることは大きな注目を集めているが,目標達成に向けた取組を検討するには,まずは,果たしてどの国・地域の旅行者が,どの程度訪日経験があり,あるいはどのような旅行形態で,我が国のどの地域にどの程度訪れているのか,といった現状を把握した上で,的確な将来予測を行うことが望ましい。そこで,本調査研究においては,訪日外国人旅行者の属性ごとに,訪日旅行者数の時系列変化やシェア等を整理した上で,国内訪問地域分布の傾向を分析し,実態を把握した。その上で,研究開始時点(2014年6月)で政府目標として掲げられていた「訪日外国人旅行者3000万人」に達する時代における国内訪問地域別入込者数を推計する予測モデルを検討し,将来予測を行った。以下概要である。1.実態分析として,韓国・台湾・香港・中国・タイ・英国・米国・オーストラリアを対象として,訪日目的(観光目的/商用目的),訪日経験(ビギナー/リピーター),訪日形態(団体旅行/個人旅行)別に訪日外国人旅行者数の時系列変化等を整理するとともに,国内訪問地域分布の傾向分析を行った。分析の結果,国・地域によって訪問先の傾向が異なるほか,同じ国・地域であっても,訪日経験や訪日形態によって周遊の仕方が異なることが改めて確認された(例:中国からの訪問者は関東,中部,近畿運輸局ブロックへの訪問率が高いが,ビギナーは東京,大阪などの複数地域を広域的に周遊する割合が高い一方,リピーターは周遊範囲が狭まり,関東,大阪等特定の運輸局ブロック内に滞在する傾向が高い)。2.実態分析の結果を踏まえながら,訪日外国人旅行者3000万人をコントロールトータルとして,「国・地域ごとの訪日外国人旅行者数を予測するモデル」と,「国・地域ごと・属性ごとの国内訪問地域分布の傾向」を組み合わせ,訪日経験・訪日形態の構成率を外生的に与えることで,国内訪問地域の将来予測値を得るモデルの構築を試みた。当該モデルに基づき,現状ベースでの予測として,訪日外国人旅行者3000万人時代における都道府県別の宿泊者数・宿泊施設定員稼働率を予測した結果,東京,大阪等,特定地域への集中が進行することが確認された。3.地方分散を目的として,「東アジア」「東南アジア」「欧米」の3方面別に,国・地域シェアや訪日経験シェア等を操作する簡易的なシナリオを用意し,当該シナリオに基づいて都道府県別の宿泊施設定員稼働率及び地方部への訪問率の変化を予測した。その結果,シェアを変化させただけでは充分な効果が得られず,地方分散を図るためには,外国人旅行者の行動パターンを抜本的に変化させることが必要であることがわかった。(著者抄録)