抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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知床のエゾシカは1879年の豪雪時に一旦地域絶滅し,1970年代以降本格的に再分布した。知床国立公園(1964年-)および国設知床鳥獣保護区(1982年-)は,再分布したエゾシカの聖域として機能した。また同半島内に残された可猟区においても,1997年までメスジカ捕獲が禁止されていたため,保護によりエゾシカの個体数は急速に回復した。その後,増えすぎたエゾシカ個体群は知床の森林植生および海岸草原植生に深刻な悪影響を与えるようになった。そのため,2004年に組織された知床世界自然遺産地域科学委員会の専門家は,遺産の核心地域においてもエゾシカの個体数調整を実施するよう助言した。知床国立公園内におけるシカ捕獲は,2007年に知床岬先端部で環境省事業として開始され,その後同公園内の越冬地3箇所に実施地区が拡大した。2015年までに計2,777頭のエゾシカが知床国立公園から除去された。シカ捕獲を実施している地区においては,植生の回復傾向が認められ始めている。(著者抄録)