抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,ナタマメ抽出液中のcanavalinが低濃度の二価陽イオンで沈殿し,高濃度の二価陽イオンで再溶解する現象を発見した。豆腐加工に見られるように,二価陽イオンの添加によるタンパク質の沈殿現象は食品加工に重要なツールとなり得る。また,この現象はこれまでに報告されておらず,canavalinの新しい性質の発見となった。生物学的観点およびタンパク質科学的観点からも興味深い結果が得られた。具体的には,低濃度のMgCl
2添加が分子量約48kDaを示すタンパク質の沈殿を引き起こすことを明らかにし,そのN末端配列がcanavalinのN末端配列と一致することから,低濃度のMgCl
2添加により特異的に沈殿するタンパク質がcanavalinであることを明示した。加えて,NaCl添加では沈殿現象を再現できず,低濃度のCaCl
2添加で再現できることから,本現象が二価陽イオンによって誘引されることを明らかにした。また,二価陽イオンの高濃度な添加が再溶解を引き起こすことも分かった。さらに,本性質について詳細に検討を行うことで,ナタマメ抽出液中のcanavalinの塩濃度依存的可逆的溶解性の変化について,詳細なモデル図を提示することができた。(著者抄録)