抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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琉球諸島の多数の遺跡から産出した人骨のコラーゲンの炭素・窒素同位体比から,当時の食生態を検討した。狩猟・採集・漁撈を中心とする貝塚文化期(縄文~平安時代),雑穀・水稲を含む農耕と家畜が導入されたグスク時代(中世),サツマイモ導入により人口増加した近世琉球王朝時代に3区分した。他時代に比べ,貝塚文化期は全般に窒素同位体比が高い。グスク時代は炭素同位体比が高く,窒素同位体比は低い傾向がある。特に,宮古島では顕著で,C4植物の雑穀を多く利用したためと考えられる。一方,沖縄島の人骨はほとんどが陸上のC3植物を基層とする生態系で説明できる範囲にある。近世は炭素・窒素同位体比ともに変化が小さく,地域や遺跡での違いは明らかではない。白保竿根田原洞穴遺跡からは,約26500~14000年前,11000~8000年前及び4800年前以降の人骨と動物骨が出土した。全般に,更新世人骨は炭素同位体比が低く,ほぼ自然の動植物(C3植物とイノシシ)を食べていたと推定される。完新世後期人骨の炭素同位体比は高く,グスク時代と同様に,C4植物の雑穀を多く利用していた可能性がある。炭素・窒素同位体比が共に高く,海産物を一定量食べていたと推定される個体もある。