抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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様々な成分が複雑な構造を形成している食品の固さなどの物理的性質の評価において,数百nmから数十μm程度の領域を対象とした定量評価は非常に重要である。しかし,これまでにこの領域の定量評価が行われた例はほとんど無い。そこで,我々は微小領域の弾性特性を反映した音響画像を得ることができる超音波顕微鏡を用いて,食品と同じ生体由来であり,水に浸漬しても膨潤などが起きにくい加工牛皮を試料としてその表面近傍の微小領域の弾性率の定量測定を試みた。試料表面近傍の弾性率は,その表面の超音波の反射率の関数として表される。超音波顕微鏡は,音響レンズで試料表面の微小領域に超音波を収束し,試料表面に平行に音響レンズを走査することで,超音波の反射率の大小を明度のコントラストとする音響画像を得る装置である。この特徴を利用して,本研究では,牛サドル革と牛タンロー革の音響画像の明度と試料の密度から革表面の局所弾性率を求め,その大きさや分布を比較した。試料の表面近傍の局所弾性率は,牛サドル革では2.5GPaから5.0GPaまでの範囲に広く分布しており,牛タンロー革では2.5GPaから3.7GPaの範囲にあり,大半の領域は3.1GPa未満であった。実際に触れたときの感触は,タンロー革はサドル革よりも表面が軟らかくて手触りもなめらかで,得られた局所弾性率の大小や分布は実際の感触と一致していた。(著者抄録)