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J-GLOBAL ID:201702211820058025   整理番号:17A0977711

核量子性が顕在化する水素量子凝集系の量子分子動力学法と新描像-孤立分子から固体まで-

Exploratory Research on Condensed Hydrogen Molecules-An Ab Initio Approach-
著者 (2件):
資料名:
巻: 72  号:ページ: 563-569  発行年: 2017年08月05日 
JST資料番号: F0221A  ISSN: 0029-0181  CODEN: NBGSA  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 解説  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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水素は最小かつ最軽量の核という特異な性質によって,プロトン単体から凝集相に至るまで様々な場面で核量子性が顕在化し,多くの実験家・理論家を驚かせ,悩ませてきた。最も“シンプル”な分子性液体/固体であるはずの液体/固体水素も,他の分子性液体/固体にはない構造やダイナミクスを示す。そして今でも,約1Kの極低温で起こると期待される水素超流動や,近年新たな相が発見された超高圧固体水素,今年になって報告された金属水素実現の可能性など,未だに達成・発見が続く未知の量子凝集相が多く存在する。水素核のゼロ点エネルギーや非局在化といった核量子性を記述するため,経路積分に基づく従来の手法では,「1個の水素核」を「N個の調和振動子バネでつながれた古典ビーズ群」として表現した。しかしながら,経路積分ではビーズ群の集団的な特徴づけ(制御)のため熱平衡状態の分配関数を導入する必要があり,1)統計平均のみが物理的意味を持ち,各水素核の微視的ダイナミクスを追えない,2)平衡状態に適用が限られる,3)計算コストが飛躍的に増大する,という欠点が知られている。著者らは最近,核と電子を同時にガウス波束化することで,孤立分子から固体まで,広範な凝集系に適用可能な,量子分子動力学法と呼べる新手法(Nuclear and Electron Wave Packet Molecular Dynamics(NEWPMD)法)を開発した。NEWPMD法では,フェルミオンとして陽に電子波束を扱うことでパウリの排他律を取り入れており,モデルポテンシャルや経験的パラメータの導入が一切不要となった。実際,導出された分子間相互作用ポテンシャルは,Lennard-Jonesポテンシャルに特徴的な長距離分散力を表現できており,飽和蒸気圧下の液体や固体をはじめ,幅広い量子凝集系への適用が可能となった。これ以外にもNEWPMD法は,1)アンサンブル平均だけではない水素核の微視的ダイナミクスが実時間で追える,2)分子配向/libration/H-H振動といった微視的自由度を記述できる,3)水素核の時間発展がシンプルな運動方程式の形で書かれているため計算コストが格段に抑えられる,4)多彩な非平衡系に適用できる,といった独自の優位性を持つ。実際にNEWPMD法を用いて,液体水素の構造や輸送係数を,その異常な温度依存性・システムサイズ依存性まで含めて再現することに成功している。さらに,分子配向/libration/H-H振動/溶媒和構造といった分子内・分子間自由度の動的挙動を議論することで,液体水素の新たな分子ダイナミクス描像を提起してきた。一方で,安定な六方最密構造を持つ固体水素も実現し,液体とは異なるジグザグ型の近接構造や,実験値に近い安定的なフォノンモード,そして液体から固体への相転移によるlibration振動数やH-H振動数の不連続飛びまでを記述することに成功している。また,未知の量子凝縮相である過冷却水素の存在を計算によって初めて示し,温度上昇とともにred shiftして消えていくボゾンピークが出現し,10K以下の過冷却水素では超流動の前兆現象と思われる水素核の異常な量子性が顕在化することを予言した。(著者抄録)
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分類 (3件):
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相転移・臨界現象一般  ,  低温物理一般  ,  分子間相互作用 

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