抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ハーバード大学のポーター教授によって提示されたクラスターという概念は,国家・州・地域の競争力をグローバル経済の文脈で捉える理論であり,関連産業,関連諸機関を含む横断的な産業概念として知られている。嘗てニュージーランド政府はポーター教授をニュージーランドに招聘して国家産業クラスターの形成を依頼した経緯があり,日本語訳の「競争戦略論II(ポーター1999)の中にもニュージーランドのワイン・クラスターに関する記述が見られる。ポーター教授によってニュージーランドにおけるワイン・クラスターの存在が明らかとなったが,ワイン・クラスターの具体的内容については分析されていない。本研究は,ニュージーランド最大のワイン産地であるマールボロ地区を対象に,ワイン・クラスターの形成過程,要素条件,クラスターの構造的特徴,関連産業・支援組織との連携協力関係とそこでの政府の役割に焦点をあてて分析し,政府主導によるワイン・クラスターの形成がマールボロのワイン産業の発展に重要な役割を果たしたという仮説をもとに,政府主導による地域レベルでのクラスターの形成過程とその妥当性を明らかにすることを目的に研究を実施した。分析の結果,マールボロのワイン・クラスターが政府主導によって形成されたものであり,そこには568のブドウ生産農家と168のワイナリー,その周囲に集積している関連産業,支援組織との連携協力と構成主体間の補完性と競争による相乗作用が新商品開発やワインの品質向上,イノベーションによって,マールボロをニュージーランド最大のワイン産地,ワインの輸出産地に発展させていることが明らかとなった。(著者抄録)