抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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クラフトパルプの製造工程は,リグニンを選択的に除去し,目標とする白色度,精選度,強度を持つパルプを製造する様に設計されている。製品であるパルプには,常にコスト低減が求められている。コスト低減の第一としては木材コストが上げられるが,コストの高い漂白薬品も無視することはできない。従来の漂白設備工程での制御は,カッパー価として表されるパルプ繊維のリグニン含有量に基づいており,漂白段における白色度の測定とつながりがある。ろ液のキャリーオーバーが漂白薬品(ClO
2)を消費することは実証されている。ろ液のキャリーオーバーの測定を行わない場合,工場ではキャリーオーバーのピーク需要に対応するために,人による偏った判断にて調整を行い,結果として漂白コストが高くなる。この課題を克服するため,工場では,現在従来のマルチポイント式分析計を用いた繊維カッパー価の測定から,インライン型漂白負荷トランスミッターを用いた新しいトータルカッパー価の測定に移行しつつありClO
2添加量を制御している。この方法では,キャリーオーバーリグニンの影響も含めて薬品添加量を制御している。この連続した漂白負荷の指示により,人による判断を最小化し,漂白薬品の大幅な節約が可能となっている。複数のプロセス変数操作が効果的な漂白設備での制御を可能とするために求められており,被制御の各変数を最適化し,工程を目標付近で維持することは極めて大きな課題である。センサーを正確に機能させ,調節制御のループが整っていることが何よりも重要であるが,一方で最小限のコストで最終白色度に到達するように操業員が手動で漂白薬品を最適化することは,実質的には不可能である。この課題を乗り越えるため,多変数高度制御システム(Multivariable Advanced Control System,MACS),すなわち,実績のある高度制御のプラットフォームが,工場に大きな節約をもたらす可能性がある。MACSでは動的工程モデルを用いて漂白負荷の乱れが下流のカッパー価および白色度に及ぼす影響を説明し,これらの変動を調整するようにClO
2添加量を操作する。MACSはフィードバック制御により未計測の乱れを補正し,リアルタイムモデルの適応により,変化するプロセス遅延と非線形漂白曲線を説明する。またMACSは,各段で適用する漂白負荷を最適化し,求められた最終白色度に対して漂白コストを最小化する。本論文が明らかにするのは,実績があり画期的で差別化された計測技術を高度な工程制御と併用することによる漂白設備の最適化に対する相乗的アプローチの利点である。本アプローチによるいくつかの事例も記載する。(著者抄録)