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J-GLOBAL ID：201702221096409071   整理番号：17A1619279

ハロゲン-フリー・イオン液体の潤滑メカニズム

Lubrication Mechanism of Halogen-Free Ionic Liquids

著者 (5件)： Kawada Shouhei (Graduate School of Tokyo University of Science) ,  Watanabe Seiya (Graduate School of Tokyo University of Science) ,  Tsuboi Ryo (Daido University) ,  Sasaki Shinya (Tokyo University of Science) ,  Prakash Braham (Lulea University of Technology)
資料名： Tribology Online (Web)  (Tribology Online (Web))
巻： 12  号： 4  ページ： 155-161(J-STAGE)  発行年： 2017年 
JST資料番号： U0046A  ISSN： 1881-2198  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 英語 (EN)

抄録/ポイント： イオン液体は,低い揮発性,高い熱安定性,酸化安定性などのような魅力的な特性を有するために,新規な高性能潤滑剤として,その活用の可能性を有する。「イオン液体は,それらの分子構造内に,ハロゲン(H)組成成分を有するために,金属における優れた潤滑性を発揮する」ことが周知されている。しかしながら,そのイオン液体によって潤滑された接触表面上には,腐食損傷の発生をも報告されている。腐食による損傷を防御するためには,ハロゲン含有イオン液体に比べて,その潤滑性が低いかもしれないが,ハロゲン-フリー・イオン液体の活用が必要である。本研究では,2種のハロゲン-フリー・イオン液体として,1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド([BMIM][DCN])及び1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリシアノメタン([BMIM][TCC])などを用いて,それらの境界潤滑状態下での潤滑性について,H-フリーDLCディスク試験形態上の振動鋼シリンダによって構成した往復動滑り摩擦/摩耗試験装置(SRV Optimol)を用いて評価した。そのSRV試験の結果から,「50N負荷状態下で,[BMIM][TCC]を有したH-フリーDLCは,その同じ負荷状態下での[BMIM][DCN]を有したH-フリーDLCよりも,より優れた潤滑性を示した」ことを明らかにした。その観察されたトライボ特性を理解するために,それらの試験片の摩耗表面を,Raman分光法によって,また,その潤滑膜の摩擦係数を,原子間力顕微鏡(AFM)によって,そして,その化学組成を,飛行時間・二次イオン質量分析(TOF-SIMS)によって,それぞれ解析した。Raman分光解析の結果からは,[BMIM][DCN]と[BMIM][TCC]の両方の移着膜の黒鉛化は発生しなかった。AFM観察の結果からは,[BMIM][TCC]のトポグラフィーは,[BMIM][DCN]のそれと比較して,より円滑であった。したがって,これらの結果から,「その表面粗さは,その潤滑性に影響していた」ことが考察された。さらにまた,[BMIM][TCC]から誘導されたトライボ膜も,その平坦位置において,低い摩擦係数を示したので,その潤滑性に影響していた。ToF-SIMS分析の結果から,「[BMIM][DCN]自体は,H-フリーDLC表面に吸着した」ことが考察された。その一方,[BMIM][TCC]は,摩擦によって熱的に分解され,また,分離されたCNを生成し,そして,H-フリーDLC表面を覆った。[BMIM][TCC]によって形成されたトライボ膜は,[BMIM][DCN]によって形成されたトライボ膜よりも,より低い摩擦係数を示した。(翻訳著者抄録)

シソーラス用語： *潤滑剤 ,  *イオン液体 ,  *DLC膜 ,  *トライボロジー ,  摩擦係数 ,  境界潤滑 ,  摩擦試験 ,  摩耗試験 ,  飛行時間法 ,  二次イオン質量分析 ,  Raman分光分析 ,  脂肪族ニトリル
準シソーラス用語： *ハロゲンフリー ,  *腐食特性 ,  *摩擦特性 ,  潤滑特性 ,  表面トポグラフィー ,  原子間力顕微鏡観察 ,  TOF-SIMS

著者キーワード (5件)： ionic liquid ,  hydrogenated free diamond-like carbon ,  ToF-SIMS ,  halogen-free ,  AFM

分類 (4件)： 分子の性質一般  (BH05031D) ,  炭素とその化合物  (YB02060D) ,  潤滑一般  (QB02010S) ,  固体の機械的性質一般  (BL01021C)

物質索引 (4件)： 1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム ,  ジシアナミド ,  トリシアノメタニド ,  シアノメタン

引用文献 (28件)：

• [1] Ye, C., Liu, W., Chen, Y. and Yu, L., “Room-Temperature Ionic Liquids: a Novel Versatile Lubricant,” Chemical Communications, 2001, 2244-2245.
• [2] Kamimura, H., Kubo, T., Minami, I. and Mori, S., “Effect and Mechanism of Additives for Ionic Liquids as New Lubricants,” Tribology International, 40, 4, 2007, 620-625.
• [3] Bermudez, M. D., Jimenez, A. E., Sanes, J. and Carrion, F. J., “Ionic Liquids as Advanced Lubricant Fluids,” Molecules, 14, 8, 2009, 2888-2908.
• [4] Zhou, F., Liang, Y. and Liu, W., “Ionic Liquid Lubricants: Designed Chemistry for Engineering Applications,” Chemical Society Reviews, 38, 2009, 2590-2599.
• [5] Doerr, N., Gebeshuber, I. C., Holzer, D., Wanzenboeck, H. D., Ecker, A., Pauschitz, A. and Franek, F., “Evaluation of Ionic Liquids as Lubricants,” Journal of Microengineering and Nanoelectronics, 1, 1, 2010, 29-34.

タイトルに関連する用語 (4件)： ハロゲン ,  イオン液体 ,  潤滑 ,  メカニズム