抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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氷海域は船舶にとって海氷に行く手を阻まれる危険な海域であるが,極域資源の開発支援や海上輸送,北極海航路の商業的利用,極海域における観測プラットフォームとしての砕氷船の運用など,氷海域の航行を避けて考えることはできない。本文では,氷海船舶の役割に応じて求められる性能や特徴について説明する。特に北極海航路を利用する船舶に必要な氷海航行性能に関する検討例として,船型や搭載主機の出力が航海性能に与える影響を調べるために実施したシミュレーションの一例を紹介する。北極海航路はロシア沿海を航行する北東航路とカナダ沿海を航行する北西航路に分けられる。一般にNSR(Northern Sea Route)と言えば北東航路のことを表す。シミュレーションは,Chukchi海~Kara海までの北東航路約2,500海里を対象とした。北極海航路については,その利用促進に向けた航行規則の改正も進められつつあるが,北極海航路を利用する商船がどこまでの氷海域航行性能を備えるかは,エスコート砕氷船など支援体制やインフラ整備にも密接に関係する。本稿で紹介したケーススタディでは,アイスクラス商船の性能に関する具体的な仕様を可能な限り考慮したが,エスコート体制やNSR通行料など流動的あるいは不確定な要素は考慮せず,商船の氷海域航行性能(航海日数,エスコート必要時間,燃料消費)に的を絞った調査に留めた。