抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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量子物理学の持つ固有の特性に基づいて,量子鍵配送(QKD)技術は,2つの離れたパートナーに対して無条件に安全な鍵を提供することができる。ワンタイムパッド(OTP)暗号アルゴリズムと組み合わせることで,通信パートナーは古典的なネットワーク上で無条件に安全な通信を行うことができる。Charles BennettとGilles Brassardが,1984年にQKDプロトコルであるBB84プロトコルを提案し,1989年に長さ32cmの量子チャネルを初めて確立して以来,多くの研究者がQKD技術の開発に注目している。今まで,通信距離および量子鍵生成速度の点で,ポイント・ツー・ポイントQKDに関する多くの改善が達成されている。例えば,自由空間でのQKDの距離は数百キロにも及ぶ可能性があり,衛星と地上の間でも量子鍵の配送ができる。更に,より高い量子鍵生成速度を得るために,10GHzまでのクロック周波数が採用されている。しかし,ポイント・ツー・ポイントQKDでは,マルチユーザー間で量子鍵の配送ができず,単一の量子チャネルの距離が限られており,地球的規模には達しない。これらの問題を解決するために,QKDネットワークは最適である。本稿では,QKDネットワークに関するモデルとルーティング方式について述べる。ここでは,先ず,信頼性の高いQKD中継ネットワークの構造を解析し,このネットワークを容易に理解するためのグラフ理論に基づくQKDネットワークのネットワークモデルを構築した。次に,信頼できるQKD中継ネットワークのための動的ルーティング方式を提案する。提案した方式は,古典的ネットワークにおける比較的完成したルーティング技術の考え方に基づき,Helloプロトコル,ルーティングアルゴリズムおよびリンク状態の更新機構の3つの成分で構成されている。提案した方式は,量子鍵交換を動的に行うためのルーティングテーブルを確立する適切なパスの選択が可能で,効率的であることが証明されている。実験結果から,このスキームでは量子鍵交換の成功率を高めることができ,ユーザー量子鍵交換の時間遅延に大いに役立つことが分かった。しかし,提案した方式におけるリンク量子鍵の露出量をネットワーク全体で解析していないため,古典的ネットワークで要求される帯域幅も考慮されていない。今後の研究において,露出量を定量的に探索し,実際のQKDネットワークをより大きなスケールで実現するつもりである。