抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿では,日本の通信衛星用アンテナの技術史について紹介する。1)通信衛星さくら2号(CS-2)のアンテナ:CS-2は,日本最初の実用静止通信衛星であり,準ミリ波帯(Ka帯)とマイクロ波帯(C帯)を放射するホーンアンテナを装備している。Ka帯は,日本本土を効率よく照射する形成ビームとし,C帯は離島を含む日本全土を含むシングルビームを形成する。2)技術試験衛星きく6号のアンテナ:通信量の大容量化に対応したマルチビームのアンテナである。Ka帯とS帯を用いて,Ka帯は13ビームで,S帯は5ビームで日本全土を覆い,利得向上を狙った。電波間の干渉を抑制するため,低サイドローブ特性と低交差偏波特性を有する。反射鏡は,直径3.5m及び2.5mの2枚の反射鏡を装備する。3)技術試験衛星きく8号のアンテナ:移動通信サービスの進展に伴い,携帯機器による通信需要の増大に対応することを目的として開発されたフェーズドアレーアンテナである。S帯を用いて日本全土をカバーするマルチビームを形成し,携帯端末による通信を可能にするため,アンテナ利得を41dBi以上にしている。反射鏡は,送信側と受信側とに分離された2枚鏡の形式が採用され,送信側で生じるPIM(Passive Inner Modulation)の影響を受信側で減少させることができる。通信衛星用アンテナは,これまでの傾向から,反射鏡の大型化が進むにつれ,軽量化の工夫が重要になる。また,今後の課題として,Ka帯以上の周波数帯で使用可能な鏡面を有する大型反射鏡の設計法を確立する必要がある。