抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本報は,防汚塗料の防汚性能評価の一つとして試験条件を一定に保もてる生物試験を検討した。すなわち,防汚塗料から溶出する防汚剤の濃度を安定させるために防汚塗料の塗布試験片を試験前に養生し,供した。また,試水を常時かけ流す流水条件を採用し,試水中の防汚剤の濃度上昇を軽減することを試みた。防汚剤は,亜酸化銅のみを用い,その配合量を段階的に変えて調製して試験片に塗布した。供試生物は,アオサ類属のスジアオノリとした。1回の試験には,同一の防汚塗料を塗布した試験片3枚を試験水槽に設置した試験区と無塗装の試験片3枚を試験水槽に設置した対照区で実施した。対照区と亜酸化銅配合量0wt%区では付着があり防汚効果はないことは当然であるが,亜酸化銅配合量5wt%区では付着は認められず防汚効果が認められた。なお,2012年の予備試験として亜酸化銅配合量1wt%区を設け同様な試験をしたところ,亜酸化銅配合量1wt%区ではスジアオノリの葉片と胞子発芽個体の付着を観察した。したがって,スジアオノリについては亜酸化銅配合量1wt%から5wt%の間に防汚効果が発現すると可能性が考えられた。防汚塗料に関して,防汚効果が発現する銅溶出濃度の標準防汚限界値として10μg/cm
2/dayが知られている。今回作成・試験した試験片は,亜酸化銅配合量5wt%でも10μg/cm
2/dayを示しており,亜酸化銅配合量5wt%区でスジアオノリの葉片や胞子発芽個体が付着しなかったことと矛盾しない。本試験は非常に感度の高い生物試験方法である。