抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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Providence港は次世紀には気候変動に関連する海面上昇や高潮等の自然災害を受けるリスクを負っている。これらに対処する方策として転換的適応事業(大型インフラの建設,脆弱なシステムの再構成,コミュニティの移転等)が考えられるが,事業の最終的実施に至るまでには多大の時間を要する。実施までの過程での有意義な決定を円滑に進めるには,リスク,結果及び選択肢について共通の理解が生まれ,それが意思決定プロセスの多様な利害関係者に浸透しなければならない。“境界オブジェクト”は,異なる見方,背景や動機を持つアクター間の対話を橋渡しする役割をする物や手段である。本研究では,Providence港の災害リスクを緩和する転換的方策についての対話の初期段階に境界オブジェクト利用して,予備的計画演習を実施した。このために,港湾事業主30人及び政策立案者間で有意義な対話を進める手段として3種類の境界オブジェクトを提示し,ワークショップの形態でそれらを試験した。境界オブジェクトは,1)3D視覚化物による嵐のシナリオ,2)3種類の長期的レジリエンスの考え方,3)Wecisionと称するオンライン決定支援ツールとした。試行の結果,共通のリスクや対策の実施に関わる複雑さの理解を深めるために境界オブジェクトが有用な計画ツールであると参加者が認めたこが分かった。境界オブジェクトは,自然災害へ適応するための長期計画の課題を巡る対話の効果的な触媒になったと考える。