抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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各自治体は,東日本大震災をはじめとする災害発生の度に加えられる改定に追われながらも,自然災害に対する被害の回避・低減を目指し,防災計画立案や防災対策,普及への不断の努力を続けている。「ハザードマップ」は,過去の地理的データ分析に基づく災害予測と避難誘導のガイドラインを自治体地図上に表現したもので,ビジュアルに災害の程度や身に迫る危険を伝えるツールであり,主に自治体が整備する。インターネットの普及に伴い,住民のみならず観光客もホームページからダウンロードできるようになった。本論文では,観光者が活用できる防災情報源としての「ハザードマップ」に着目し,相模湾沿岸自治体の「ハザードマップ」の普及と整備の現状を調べ,その課題を明らかにすることを目的とした。現行の「ハザードマップ」には,様々な課題があることが明らかになった;(1)市民の認知は高いと言えない事実があり,その普及啓発も自治体の役割とされている。(2)準拠する想定地震が,自治体間,作成時期により異なる。(3)色相のグラデーションが,自治体間,作成時期により異なり,一目で理解できるとは言い難い。今後に向けた対策として,次の3点が挙げられる;(1)「ハザードマップ」の存在と活用方法についての認知度を向上させるために,各事業所や学校などを利用して普及に努めることが必要である。(2)予測されるリスクの規模や喫緊性と,リスクマネジメントにかかるコストとのバランスを見極め,現時点で可能かつ望ましいレベルにおいて,「ハザードマップ」の開発と公表を進める。(3)観光客に対しても,「自助」を促すための津波防災を考える必要がある。