抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿は,作庭記と邦訳旧約聖書における石たてに関する禁忌の表現方法について報告した。先ず,『作庭記』は,平安時代の貴族邸宅や寺院の庭園の作り方を説明した日本最古の作庭書であり,その原本の成立は12世紀初頭と推定されていること,本論が行うことは,日本の造園関係者にとってはまだ不慣れである旧約聖書について認識の沃野を広げて行く意味を持つこと等を報告した。次に,研究方法,基本型から見る,石をたてる行為における禁忌,基本型と異なる,石をたてる行為における禁忌について報告した。最後に,まとめとして,石をたてることに関する禁忌の伝え方を基本型という概念を想定する事によって整理し検証したこと,作庭記においては,禁忌内容を集中的に収録するという形式をとることで視認性を高め,その個所においてはいくつかの表現上の型をもちいて示すことが可能となるため叙述上のバリエーションが発揮されていたこと,旧約聖書においては,預言者を通じて人々が将来見ることになる望ましくない石たてに対する警告を示したあと,歴史書という体裁を使って,警告を犯した者や国に起こった実際の支障を示し,人々が警告を守る努力を成した場合には,その成した度合いに応じて良い出来事が起こったことを示す事によって,たて石における禁忌事項を遵守することの大切さを示していたこと等を報告した。