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J-GLOBAL ID:201702230224521785   整理番号:17A0799764

BAP1は,ミトコンドリアへのIP3R3を介したCa2+流入量を調節して細胞の形質転換を抑制する

BAP1 regulates IP3R3-mediated Ca2+ flux to mitochondria suppressing cell transformation
著者 (28件):
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巻: 546  号: 7659  ページ: 549-553  発行年: 2017年06月22日 
JST資料番号: D0193B  ISSN: 0028-0836  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 短報  発行国: イギリス (GBR)  言語: 英語 (EN)
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BRCA1関連タンパク質1(BAP1)は,環境からの発がん作用を緩和する強力ながん抑制遺伝子である。BAP1を不活性化する生殖系列変異をヘテロ接合で受け継いだ保因者(BAP1+/-)の全てが,一生の間に1回(多くの場合は数回),BAP1-/-の悪性腫瘍を発症し,そのほとんどは悪性の中皮腫,ぶどう膜黒色腫などである。またヒトのがんでは,BAP1の両対立遺伝子変異の獲得が高頻度で見られる。BAP1のがん抑制活性は核局在によって生じるもので,BAP1は核内でゲノムの完全性維持を助けると考えられている。細胞質でもBAP1が働いている可能性はあるが,解明されていない。BAP1レベルの低下した細胞では,染色体異常や相同組換えによるDNA修復の低下が見られ,これはBAP1の存在量が重要なことを示している。大規模なDNA損傷のある細胞は死に,悪性腫瘍にはつながらないはずである。今回我々は,BAP1が小胞体にも局在することを見いだした。小胞体では,BAP1は3型イノシトール1,4,5-トリスリン酸受容体(IP3R3)に結合し,脱ユビキチン化して安定化させ,それによって小胞体から細胞質ゾルとミトコンドリアへのカルシウム(Ca2+)放出を変化させて,アポトーシスを促進する。BAP1+/-保因者でのBAP1レベルの低下は,IP3R3レベルとCa2+の流量を低下させ,DNA損傷が蓄積したBAP1+/-細胞のアポトーシスを妨げる。電離放射線や紫外線,あるいはアスベストに曝露された細胞では,遺伝毒性ストレスを生き延びるものの割合が高く,その結果,細胞の形質転換率が上昇する。BAP1+/-保因者のがん発生率の高さは,核と細胞質でのBAP1の機能低下が組み合わさった結果だと考えられる。これらのデータから,ヒトのがんの発生に関し,BAP1が遺伝子と環境の相互作用に対して強力な調節能力を発揮する仕組みが明らかになった。Copyright Nature Japan KK 2017
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分類 (3件):
分類
JSTが定めた文献の分類名称とコードです
細胞生理一般  ,  生物学的機能  ,  発癌機序・因子 

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