抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
近年,日本では運航の自動化・自律化の研究・開発は,完全な無人運転を求めるものではなく,あくまで運航の支援,特に,1名当直の実現を目標に実施されてきた。一方,欧州では,他の交通モードの自動運転化の流れから,欧州連合等の研究補助を受けた自律船・無人船の実現を目標にした研究開発が複数推進されてきた。欧州の商船の自律船に関する研究として,Rolls-Royceの自律船,MUNINの自律船,ReVoltの自律船の3件の研究プロジェクトを紹介した。3件の欧州プロジェクトでは共通して,遠隔監視・操船下の自律船の構築は,現存要素技術を組み合わせれば実現可能であると評価している反面,実用化の際には,要素技術のさらなる向上と新たなセンサ等新しい技術の必要性を指摘していた。運航面では特に今回新しく導入された画像センサの追加だけでは人間による見張り作業の代替は困難で,ブレークスルーが必要と考える。さらに,避航操船や荒天下操船の自律化についても,社会受容性を確保するためには,さらなるシステムの性能向上と検証が必要と考える。著者は完全自律船での社会が受容できるレベルでの無人運転の実現には時間とコストがかかりすぎると考えており,人工知能同様,遠隔モニタリング下での自律機能の利用による操船作業環境と安全性の向上を図ることが大事であると考える。