抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年の登山ブームで,全国の山岳地の歩道では登山者の踏圧により裸地化と洗掘が進みガリー(沢形)地形が形成されている。融雪期と降雨時には表流水が出現して土壌流出が激しく,自然環境の保全上もはや看過できないレベルに達している。こうした事態への対処として木道化などの土木工事が行われているが,縦杭などの埋設により地下の土壌構造を破壊し,荒廃の進行をむしろ早める結果をもたらしているケースが多い。蛇籠の3面張りや延々と続く木道の設置は,自然との力ずくの勝負であり,環境の復元にはまったく役立っていない。子孫に残すべき貴重な自然遺産の蹂躙にも通じるこうした方向の現場土木工事は,今やストップをかけるべき時期にある。登山道の修復は現場での土木工事を止めて,「登山道本来の機能の維持」と「環境復元」の両立を目指すべきある。筆者はこの両立を可能にするための3原則を提示し,杭打ちをせず,金属メッシュなどの床板を地表から離して空中に設置する新工法を考案した。新工法は床板の隙間から雨水と日光を地表まで透過させ,裸地化し不安定であった地表を新たな平衡状態に向わせるもので,荒廃地形の安定化と植生復活を自然の治癒力で実現させる工法である。(著者抄録)