抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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時間外労働手当請求をめぐる判例について,会社側のリスク管理の観点から考察した。タクシー業界では,時間外手当と支払い手当のあり方が問題となっており,本事例でも給与決定方法をできるだけ「複雑」にして,労働・拘束時間と給与が連動しないような制度となっていた。会社側Yの言い分は,タクシー乗務員Xの労働時間を把握するのは難しく,残業代の計算も難しいというのに対して,Xの言い分は,稼働率のため会社は長時間の拘束を求めることが多いというものである。具体的には,1)H29年2月の判決(当事者,Xらの賃金の項目,Xらの賃金の計算方法,割増金及び歩合給算出の対象額),2)原審H27年の判決)について述べた。両裁判を通じての論点となった「使用者が労働基準法37条所定の割り増し賃金を支払ったといえるか否か」について,判決の考え方は,二つの要件を提示し,その両方の要件を満たせば時間外手当支払いは適法であり,一方だけの場合Yは差額をXに支払うべきというものであった。