抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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可燃性物体(ガス,蒸気,液体,粉体)が存在する場所における静電気は大きな爆発,火災を引き起こしている。本論では静電気の基礎である静電気帯電・放電,静電気災害統計,事故事例,静電気災害の防止対策について解説した。1)静電気帯電の原理を説明した。現場での実例としてはロールによって紙,フィルムを駆動する時,配管を用いて液体,粉体を輸送する時,テープを剥離する時などがある。2)静電気放電は帯電した物体の周囲に形成された電界の強度が媒質の絶縁破壊電界強度に達すると生じる。空気中の絶縁破壊電界強度は3MV/mである。静電気放電の中で爆発・火災の原因として過半数を占めるのは火花放電である。3)静電気災害の発生状況。1995-2004年の10年間の静電気災害80件を分析したところ,石油類タンク,パグフィルタ内蔵集塵機などで重篤な静電気災害が多く発生していることが分かった。4)導体の静電気対策。接地を確実に行うこと。防爆型接地確認装置も紹介した。5)不導体の静電気対策。除電器を使用する。一般には電圧印加式除電器が使用されている。6)最小着火エネルギー(MIE)の把握と窒素パージによる静電気対策。火災・爆発は可燃性雰囲気の中にMIEを超える静電気放電エネルギーが与えられると発生する。MIE値が低いほど静電気放電による着火危険度が高い。粉体のMIEは空気中の窒素濃度に大きく影響を受ける。普通の空気(窒素79%)では3mJの静電気放電でも容易に着火するが窒素84%の場合に着火した静電放電エネルギーは1000mJとなった。したがって粉体試料を取り扱う場合,静電気放電による着火爆発火災を防止するには窒素濃度84%以上で使用すると効果的である。