抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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初代練習帆船日本丸は昭和5年に神戸川崎造船所において建造され,昭和59年まで54年間に渡って11500名もの実習生を育ててきた。そして,昭和60年より,現役当時のまま保存され,一般公開の他,船の生活を体験する海洋教室や総帆展帆などを行い,帆船の素晴らしさを今に伝えている。その主機関は,途中更新されることはなく本船の運航を支え続けてきた。本年で製造86年を迎えた初代日本丸の主機関について紹介する。工作機械メーカであった池貝鉄工所は大正9年に,独自で開発した空気噴射式単気筒40PSディーゼル機関を完成,大正11年には120PSの4サイクル機関を御前崎の漁船に納入した。そして大正15年わが国最初の無気噴油ディーゼルエンジンを完成,この技術が日本丸に搭載されることとなる。主機関の要目は次の通りである。形式:池貝鉄工6SD40型,台数:2基,シリンダ数:6,シリンダ径:400mm,ストローク:600mm,回転数:220min
-1,出力:600PS。日本丸建造当時,我が国の商船隊にもディーゼル機関が搭載され始めていたが,大型機関は輸入品もしくは海外ライセンスの国内製造で,純国産は小型機関がみられただけであった。そのような時代に,試行錯誤を重ねながらも設計から主要部品の製作まで純国産の技術で完成させた日本丸の主機関は,不完全な中にも様々な工夫が見られ,当時の工業技術をいまに伝えている。