抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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北海道には嘗てカワウソが生息していた。そこで100平方メートル運動の森・トラストでは,復元対象動物種のひとつとしてカワウソを選定し,2011年~2016年にかけて再導入の可能性について詳細な調査を実施してきた。本論文はその5年間の調査結果をまとめたものである。その調査結果の結論は次のとおりである。カワウソ再導入を知床のみで行うことは不可能である。その理由は,第一に知床の環境はカワウソにとって好ましい生息地の条件を充たしていない。第二に個体群を決定したとしても,再導入を実現させることが困難である。第三に日本ではカワウソ再導入の合意形成までに長期間を要する。以上三点の問題が解決可能であれば,カワウソの再導入には可能性がある。しかし,その実現のためには運動地よりもっと広大な地域の生息系を回復させる必要があり,100平方メートル運動の枠組みを超越したものになる。一方で,100平方メートル運動地内にカワウソの生息できる環境を回復させることは合理的であり,運動本来の目的に合致する。現在目指すべき目標は,カワウソが将来再導入されることを夢見ながら,先ずは100平方メートル運動地内にカワウソにとっての十分な環境資源を貯えることである。