抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
平凡社の改訂新版『日本の野生植物』第5巻のハナイカダ科を執筆するために,リュウキュウハナイカダHelwingia japonica supsp.liukiuensisについて調べ直した結果,本亜種は台湾のタイワンハナイカダH.japonica subsp.taiwaniana(=H.formosana非合法名)および中国浙江省・安徽省から記載されたH.japonica var.zhejiangensisと同じ分類群であると認められた。このためこれらの3分類群を合一してリュウキュウハナイカダとした。リュウキュウハナイカダ,タイワンハナイカダおよびvar.zhejiangensisはいずれもハナイカダH.japonica subsp.japonicaに近いが,葉はより細長くて狭卵形または狭楕円形から卵形,楕円形または長楕円形,托葉は小型で分岐しないか1-2分岐するとして区別されている。これら3種類間では,Hatusima(1936)はリュウキュウハナイカダはタイワンハナイカダに比べると葉,花,果実共に著しく大きいとし,Hara and Kurosawa(1975)は両亜種は葉と托葉の微妙な違いを挙げている。中国においては,H.zhejiangensisが記載されたが,Xiang and Boufford(2005)はこれをタイワンハナイカダと同種類であるとした。これら3種類の区別点とされる葉の形は変異があり,托葉は同一の枝で分岐するものもしないものもある(Figs.1,2)。花,果実のサイズには差がない。これらの分類群は地理的に隔離されているが,同じ種類と考えられ,その学名はHelwingia japonica subsp.liukiuensisとなる。新しい範囲のリュウキュウハナイカダは奄美大島から沖縄・台湾・中国:浙江省と安徽省に分布する。本文ではその学名,主要文献を整理した。(著者抄録)