抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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パルプ培地で培養したPhanerochaete crassa WD1694株によるマンガンペルオキシダーゼ(MnP)の反応場所を検出するため,MnPの検出試薬としてテトラメチルベンジジン(TMBZ)を用いた顕微鏡観察を行った。P.crassa WD1694株を,広葉樹未晒しクラフトパルプとTMBZを含む培地で培養したところ,各培養条件下で,P.crassa WD1694株はパルプ菌糸塊を生成し,その表面上にTMBZの発色沈殿が認められることが判明した。次いで,P.crassa WD1694株を培養したパルプ培地を菌糸染色用のクマシーブルー,スライム染色用のフロキシンBで染色し,顕微鏡観察した結果,P.crassa WD1694株の菌糸がパルプに絡みつくように生長し,それらをスライム層が覆う様子が観察された。TMBZの発色沈殿の位置を,パルプ菌糸塊構造と比較検討した結果,TMBZの発色沈殿は,主に菌糸端部と菌糸上に顕著に認められた。また,TMBZの発色沈殿の経時的変化を観察したところ,スライム層の生産時期と関連してTMBZの発色沈殿が生じることが示された。これらの結果より,パルプ培地で培養したP.crassa WD1694株には,菌糸とスライムでパルプを凝集した後,菌体上でMnPによるリグニン分解反応を効率よく進行させる組織学的な機構が存在することが示唆された。(著者抄録)