抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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政府は,1992年の「新しい食料・農業・農村政策の方向」で,農業生産法人推進の方針を打ち出し,その後,農業経営の法人化の推進は,農政の柱の一つとして維持されている。これまでの多くの研究で,農業法人における従業員の確保・育成問題が指摘されている。本研究では,農業法人の従業員確保を取り巻く環境を明らかにしたうえで,早期に農業経営を法人化し,多数の従業員を雇用してきた大規模野菜作経営農業生産法人A社を対象として,従業員確保・育成に向けていかなる対策を講じたのかの実態を明らかにし,農業法人の従業員雇用について考察した。A社では,地元雇用難への対応として,正社員以外については,加工部門では機械化と障害者の活用,営業部門では外国人実習生の受け入れ,正社員については公的支援制度を活用した研修生の雇用で対応してきた。今後,地域の仕入れ先の確保が難しくなると考えられる状況の中,仕入れ先と顧客との関係も築けるような人材の定着が求められる。行政の就農支援は,従業員の独立や転職を想定している場合が多く,農業法人の従業員の定着に対する配慮が必要と考えられ,そのための制度設計が求められる。また,従業員が地域に定着するためには,結婚や子育てといったライフプランを描けるような社内制度の整備や人事管理も必要と考えられる。