抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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富岡製糸場と絹産業遺産群が世界遺産に登録されたことを契機に蚕や絹製品への関心が高まり,養蚕への新規参入の希望が増えている。蚕の飼育作業には桑収穫や給桑だけでなく,2人一組で行う除沙や,前屈み姿勢のまま蚕を拾い上げるなどの作業があり,重労働を強いられる場面が多くある。そのため,腰などの身体的負担が軽減される作業方法,桑収穫作業の効率化について,養蚕新規参入者から技術開発の要望が出されていた。そこで,量販店で容易に入手可能な簡易な飼育台(新飼育台)を開発し,現地実証試験を実施して適応性を調査した。また,電動アシスト剪定鋏を利用して桑収穫作業を省力化した。新飼育台では,蚕座を2.5cm目の網で覆ってから2回給桑し,網を一方の端から巻き上げ,別の飼育台に転がして移すことで1人作業が可能になった。キャニスターが付いているため,移動が簡単で,効率的に除沙や給桑を行える。また,蚕座面が高いため,腰をかがめた作業が少なく身体への負担を軽減できた。電動アシスト剪定鋏の動力源は,家庭用コンセントから充電可能なバッテリーである。バッテリーを含む本体重量は約1.6kgと軽く,コンプレサーや圧縮空気を送り込むゴムホースが無いため,取扱やすく,機動性,操作性が高い。電動アシスト剪定鋏を使用すると桑収穫時の疲労が少ないため,ペースを落とさず継続して作業できる。
