抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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エレクトロポレーションは,電気パルスの印加により,細胞壁の透過性を一時的に高め,細胞内に外来物質を導入する方法である。電気パルスを用いた悪性腫瘍の治療法として,従来から電気化学療法(エレクトロケモセラピー)があった。本稿では,不可逆エレクトロポレーション(IRE)による悪性腫瘍治療の原理と研究動向について紹介する。IREの最大の利点は,非熱的に細胞を壊死できることである。悪性腫瘍の治療に応用するためには,電場と温度場を制御し,組織温度上昇を抑えて,標識組織を全て除去できるような,電気パルスの局所印加条件を見出す必要がある。本稿では細胞膜の構造と性質,膜破壊の機構,膜破壊閾値などの原理を解説した後,腫瘍除去治療をめざした研究動向(数値解析,動物実験,臨床研究)を紹介した。臨床研究は,2010年にThaomsonらが,IRE施術装置(NanoKnife)を用いて開始し,日本でも,2014年にこれを用いた臨床研究が行われている。最後に,IREの生体ファントム実験と数値解析結果,および定電圧化への取り組みを示した。