抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
イネ水田は,二酸化炭素に続く二番目に最も重要な温室効果ガス(GHG)の大気メタン(CH
4)の主要な人為的排出源であることが知られている。様々な環境や管理条件下でのイネ水田からのCH
4を推定するために,本報ではプロセス指向生化学モデル「DNDC-Rice」を開発し,ここではイネ植物(水と窒素取込み,光合成,呼吸,炭素・窒素配分,CH
4移行等)と水田土壌(水,熱・気体移動,有機物分解,Fe還元/酸化,CH
4還元/酸化等)における関連プロセスを明確にシミュレーションする。DNDC-Riceモデルの評価においては,残渣導入,水管理,硫安施用,大気CO
2濃度([CO
2])の様々な処理下の6つのイネ水田の試験データを用いた。DNDC-Riceは,残渣導入,水管理,硫安施用の関数としてCH
4を正確に予測し,広い範囲の条件におけるCH
4排出量推定に潜在性を示した。しかしながら,高濃度[CO
2]でのCH
4排出量推定に関しては,DNDC-Riceには改善が必要で,高濃度[CO
2]下での光合成や窒素取込みなどの植物生理を考慮しなければならない。地域的な適用においては,日本北海道のイネ水田の気候,土壌,管理に関するGISデータベースと組み合わせ,代替水管理(AWM)でのCH
4排出量削減の可能性を示した。ここでは,北海道での通常水管理に比較して,AWMはイネ水田からの季節的CH
4排出量を最大41%削減することを明らかにした。国内規模のデータベースを構築することによって,DNDC-Riceは日本のイネ水田からのGHGインベントリーおよびCH
4排出量削減ポテンシャルのコンピューター計算に適用できる。現在,DNDC-Riceは妥当性検証が行われ,主に日本で適用されている。気候変動への緩和/適応戦略に寄与するためには,他のイネ栽培国におけるイネ品種,気候,土壌等の条件下で,このモデルをキャリブレーションし,妥当性を検証する必要がある。(翻訳著者抄録)