抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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雪と地表面大気の中のBC濃度(BC
snow,ng g
-1;BC
airng m
-3),放出,乾性沈降,スカベンジングを含む北極におけるブラックカーボン(BC)の感度を全球三次元(3-D)化学輸送モデル(CTM)GEOS-Chemを用いて調べた。モデルが,平均40%,北極のBC
snowを過小評価することを見出した(中央値=11.8ng g
-1)。天然ガスフレアリングは,北極での総BC排出を大幅に高めた(~70%)。フレアリング排出は,北極のBC
snowの最大49%増加に通じ(0.1~8.5ng g
--1),フレアリング発生源地域(ロシア極北の西端)での観測値とのモデル結果の比較を劇的に改良した(差異の50%低下)。十分な観測は,現在のCTMsでの雪と氷へのBC乾性沈降速度が小さすぎることを示唆した(GEOS-Chemで0.03cm s
-1)。局所の気象と地表条件で変化する乾性沈降速度(v
d)を計算するため,resistance-in-series法を適用した。得られた速度は,全BC沈降に対する乾性の割合を増加させ(16~25%),北極での総BC沈降とBC
snowは変化しないまま,北極で8倍と大幅に大きく,変動した(0.03~0.24cm s
-1)。更に,混合相雲でのWegener-Bergeron-Findeisen(WBF)過程の影響を計算し,凝縮相(水滴と氷晶)から間隙大気へのBC粒子放出により,BCの雲によるスカベンジング効率を大幅に低下させた(北極において43~76%)。得られたBC
snowは最大80%高く,BC負荷はかなり大きく(0.25~0.43mg m
-2),BC寿命は北極で著しく延びた。全体で,フレアリングによる排出は北極でのBC
airを増加させ(~20ng m
-3),アップデートされたv
dはBC
airを半減し(~20ng m
-3),WBF効果は冬と早春のBC
airを25~70%増加させた。BC
snowのモデルシミュレーション結果は,大幅に改善され(観測結果の10%以内),BC
airの差異は,バロー(Barrow),アラート(Alert),サミット(Summit)での降雪季にはるかに小さかった(-67~-47%から-46~3%)。著者等の結果は,BCのフレアリング排出のより良いキャラクタリゼーション(例えば,排出係数,時間分布,空間分布など),雪と氷へのBC乾性沈降の広範な測定,混合相雲でのBCスカベンジング効率が急ぎ必要なことを明らかにした。更に,北極での降水量の制約不足が,BC
snow推定に大きな不確実性をもたらすことを見出した。降水量を倍にすると,フレアリング排出及びWBF効果の総合的効果とほぼ同等の正バイアスがもたらされ,降水量を半分にすると,同等の大きさの負バイアスが生じた。(翻訳著者抄録)