抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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位相性ニューロンは通常急速に上昇する入力,たとえばステップ状電流の開始に対してのみ発火し,定常的あるいは緩慢な入力には発火しない。これはタイプIII興奮性の特徴である。位相性ニューロンには,位相ロックとコインシデンス検出に驚くような時間的正確性がある。この例は聴覚脳幹に見られ,ここでは音源定位において正確なタイミングが利用される。細胞レベルの位相性はダイナミックな,電位開閉制御,閾値下を設定するネガティブフィードバックによって生じ,電位が十分速く上昇しない場合には発火閾値に到達するのを防いでいる。著者らは位相性について,低閾値カルシウム電流(引き算メカニズム)と閾値下不活性化のナトリウム電流(分裂メカニズム)2つのメカニズムを考えた。3つの簡単化モデル,すなわち分裂的あるいは引き算的メカニズムを持つものと,両方持つものを考え,タイプIIIニューロンの持つ高い時間的正確さを解析した。これらの発火特性と様々な刺激に対するパフォーマンスを比較した。モデルは確率的電流注入やポアッソン時間興奮性シナプスコンダクタンス列に対して,非単調な入出力関係,発火率対入力強度を有した。パフォーマンスは,時間的コヒーレンスを様々に変化させたユニタリー興奮性シナプス入力の繰り返しパケットに対するモデルの応答において,位相ロックとコインシデンス検出で評価した。その結果,それぞれのメカニズムは特性に寄与したが,最も良いパフォーマンスは両方のメカニズムが含まれる場合であった。引き算メカニズムは位相ロックとコインシデンス検出に対して驚くべき正確さを与えるが,ナトリウム電流不活性化の分裂メカニズムが不適切な場合は限られたパラメータ範囲でのみであった。分裂メカニズムの正確性は低いが,興奮性の低下を生じることなく位相特性のロバストネスを保障した。最後に僅かな一過性抑制は,適切にタイミングがとられれば発火の信頼性が上昇することを示した。(翻訳著者抄録)