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J-GLOBAL ID:201702266413354392   整理番号:17A0516900

大阪におけるイノベーション・エコシステム構築に向けた政策的検討

著者 (1件):
資料名:
号: 159  ページ: 87P  発行年: 2017年03月 
JST資料番号: J1292A  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 解説  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
抄録/ポイント:
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1.調査の背景と調査の目的:今,日本経済再興の切り札として“イノベーション”への期待が高まりをみせている。かつての日本企業は鉄鋼,自動車,通信・電子機器など多くの分野で世界市場を席巻してきたが,資源の乏しい我が国でそれを可能にしてきたのはイノベーション創出力の高さであった。しかし今,日本企業のイノベーション実現率は決して高いとはいえない。我が国経済が再び競争力を得るには,新たな価値を生み出すイノベーションの創出が必要不可欠である。こうした問題意識に基づき,地域を舞台としたイノベーション創出能力の向上を目指す取組みが各地ではじまっている。そこで大阪府における地域の中小企業やベンチャー企業のイノベーションを促進するイノベーション・エコシステム構築に向けた政策を検討することを目的として本調査を実施した。2.大阪におけるイノベーション・エコシステムの検討ポイントと分析結果:本調査が対象とするイノベーション・エコシステムとは「イノベーションに意欲的な事業者や人の創出・育成だけではなく,大学や行政,さらに銀行やベンチャーキャピタル,各種専門家などの多様な主体が,産学官連携やオープン・イノベーションなどにより連携,協業する仕組みが地域に組込まれた状態であり,加えて特定地域にイノベーションの実績が蓄積され,それが内外で認知されることで担い手,支援者双方で新たな主体が地域に流入し,イノベーションの創出が自律的に循環する状態」である。調査では,このようなイノベーション・エコシステムの大阪の現状や今後の課題について主に3つの視点から検討した。【視点1】イノベーションに主体的に取り組む企業や人の一定の集積が必要となる。その際,優れた技術やノウハウを持つ企業等が集積するだけでなく,企業等がイノベーションに取り組まざるをえないような圧力や意識改革などの動因も必要となる。【検討結果】大阪府では,労働生産性や新規上場企業数は減少しているが,開業率は上昇傾向にあり,上場企業数や特許出願数,登録数なども一定の国内シェアを確保していることから,イノベーションに主体的に取り組む企業の一定の集積はあるとみられる。またイノベーションに取組む企業の約6割は,既存市場や事業の将来性の不安を,イノベーションヘのチャレンジの原動力としていた。このことは,企業が今の経営環境や事業の将来性を再認識することで,新たにイノベーションに向かう可能性が高まることを示唆している。【視点2】地域の各支援機関により,企業のイノベーションを推進する支援制度が整備される必要がある。その際,各支援機関には組織や分野を越えたシームレスな組織や活動が求められ,それには支援機関の間で連携や協業を促進する地域リーダーの存在が重要となる。【検討結果】大阪には研究機関や大学,各種の専門事業所などの支援機関が一定集積している。事例で紹介した支援機関はいずれも様々な主体を「つなぐ」ことによる地域全体での最適化を目指しており,コラボレーションによるイノベーションの実績を蓄積しつつある。それらの活動のなかで支援機関の担当者には,地域リーダーとしての動きもみられるが,シームレスな組織や活動が整うにはまだ時間を要するものとみられる。【視点3】地域内に,イノベーションを実現した成功企業が蓄積されることが必要である。加えて成功企業の蓄積があることや,企業等の成功により支援者がリターンを得ているが,地域内外に認知されることが必要となる。【検討結果】大阪の上場企業数や特許登録数は全国の1割以上を占めるなど,成功企業の一定の集積は認められるが,IPO件数は減少するなど,活発にイノベーションが行われているとは言い難い。そのため支援者のリターンなど,エコシステムの機能向上のための対策が必要である。最後に,大阪に形成されつつあるイノベーション・エコシステムを地域内外に知らしめるため,地域内の各支援機関等が一体となり,情報発信に努めることが必要となる。3.大阪のイノベーション・エコシステムを機能させるための方策:(1)大阪に点在する各支援機関が形成するコミュニティのネットワーク化による地域全体での人や機能,各種資源の最適化と,そのための「つなぐ」機能を持つ人材の育成,確保。(2)産学官等の各支援機関が一体となった実績などの情報共有と地域内外への情報発信。(3)企業間のコラボレーション機会の提供とその実現をサポートするコーディネーター人材の育成,確保。(4)豊富な実務経験や人脈を持つ企業OBや起業経験者,各種専門家などの人材との出会いの場の提供。(5)担当者の人事異動等によるノウハウや人脈の喪失を防ぎ,継続した支援体制を実現するための工夫。(6)キャリアパスなど支援担当者への新たなインセンティブの提供。(7)行政支援による信頼性や知名度の向上といった副次的効果を活かした支援策の提供。(著者抄録)
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分類 (1件):
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科学技術政策・制度・組織 
引用文献 (24件):
  • 相馬亘[2015]「第12章日本のクラスター政策」、山口栄一編『イノベーション政策の科学 SBIRの評価と未来産業の創造』東京大学出版会。
  • 石井芳明[2014]「ベンチャー政策の新しい展開」「一橋ビジネスレビュー』62巻2号:74-89。
  • 一般財団法人森記念財団都市戦略研究所[2015]『世界の都市総合力ランキング2015』。
  • 大阪府立産業開発研究所[2008]「オープン・イノベーション時代における企業研究所と中小・ベンチャー企業の研究開発連携」。
  • 経済産業省産業構造審議会産業技術環境分科会[2014]「研究開発・評価小委員会中間とりまとめ」。
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